私たちの日常生活にもはや欠かせない存在である『自動車』
ヒトの移動だけでなく、多くの荷物も運び私たちの生活を支えています。
そんな便利な自動車ですが、年間72万3,520件もの事故が発生しているのも事実です。
一度、事故が起きれば、損害賠償責任の発生など多くの解決すべき問題が発生します。
万が一の事故に備える為の安心・それが自動車保険です。
自動車に関わる保険の種類は国により加入が義務付けられている強制保険の自賠責保険(正式名称は「自動車損害賠償責任保険」)と任意加入である自動車保険の2つにわかれます。
いずれも損害保険に属し、公共性が高い保険であるため、それぞれ法律の管理下におかれています。
自賠責・・・自動車損害賠償保障法(自賠法)
自動車保険・・・保険法
自賠責保険とは?
万が一、事故が発生し、その加害者が任意の自動車保険に未加入の場合、被害者は何の保障も受けることが出来きません。
そのため、最低限の被害者救済の処置が求められます。
自賠責保険は、自動車損害賠償保障法に基づき、自動車の運行による人身事故の被害者救済を目的としてすべての自動車に加入が義務付けられている強制保険です。
車検を受ける際には必ず次回の車検満了日をカバーする自賠責の提出を求められますし、万が一未加入のまま公道にて自動車を運行すると1年以下の懲役または50万円以下の罰金の刑事罰および免許停止等の行政罰が科せられます。
□自賠責対象事故・・・自動車の運行によって他人を死傷させた場合の人身事故。車両等の物的損害は対象外となります。
□支払限度額・・・
傷害 120万円
後遺障害 75~4000万円
死亡 3000万円
上記の支払い限度額は1名についてであり、1つの事故で複数の被害者がいた場合は各人について適用されます。
□請求方法・・・〈加害者請求〉と〈被害者請求〉の2つの方法があります。
〈加害者請求〉・・・
被害者に賠償金を支払った後に、その実際に支払った金額について領収証等の必要書類を添えて保険金の請求を行います。
〈被害者請求〉・・・
加害者の加入している損害保険会社へ直接必要書類を添えて、被害者側から損害賠償額の請求を行います。
□請求の期限(時効)・・・
〈被害者請求〉・・・
被害者へ損害賠償金を支払った日から2年以内
〈加害者請求〉・・・
事故があった日から2年以内。
ただし、死亡の場合は死亡日・後遺障害の場合は後遺障害の症状が固定した日からそれぞれ2年以内となります。
□自賠責の適用外のケース・・・
自賠責は自動車の運行により他人を死傷させ、法律上の損害賠償責任を負った場合に適用されます。
そのため、下記のようなケースでは自賠責による保険金請求が出来ない場合があります。
①相手に責任が無い場合・・・例)被害者が停止自動車に衝突した場合
②電柱に衝突などの自損事故で死傷した場合
③自動車の運行による死傷ではない場合・・・例)駐車中の自動車に子供が自転車でぶつかり死傷した場合
(自動車の運行とは、走行中・ドアの開閉・ダンプカーの荷台上げ下げなどを指します)
④被害者が他人ではない場合・・・自賠責がついている自動車の持ち主が友人に運転をさせ事故に遭い、死傷した場合にはその自動車の持ち主に対しては保障が出来ません。
自賠責保険では、これまで述べたように他人への対人保障のみを目的としており、自身の過失についてはその保障を受けることが出来ません。
また、対人賠償は高額化しますので、自賠責のみではその保障は不十分です。
そのため、自賠責保険に加え任意の自動車保険への加入が必要となります。